赤い太陽
白雨

 私は赤い太陽をみた
 それは
 戦場か
 酩酊か
 醒めたくも
 醒めやらぬ憂鬱の眠りのなかだった。
 それは
 文字どおり赤く巷を照らしていた。
 神々しい輝き、
 それゆえに街々は焼きただれ
 廃墟と化す。
 私は赤い太陽をみた
 裏通りの
 汚れたレストランのまえで
 それは
 私の頭に焼きついて
 まとわりついた。
 それは 
 私のあらゆる考えごとに引火した。
 それは
 私の手に持てる一本のナイフだった
 それは
 私の胸から流れてやまぬ血の色だった
 それは
 はためく天の旗だった!
 そして思った、
 赤い太陽
 なんて馬鹿馬鹿しいんだ!


自由詩 赤い太陽 Copyright 白雨 2006-09-02 01:06:24
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