深夜の鉄道
狩心

果てしなく続く夜の闇が僕を押し出す
重い荷物だけを持って少しだけ遠くへ行く
辺りは知らない人達でぎゅうぎゅう詰めになる
座席にもたれた背中にピンと張り詰める痛み
体をダンゴムシのように丸め込み 身を守った猫背の代償
目線は斜め下ばかりを見ていた
時折 頭を上げたとしても 迫り来る広告群が僕を不感症にさせる
唯一 僕が感じられるのは この揺れる振動のみ
歩み 時を刻み 心 定め 地を這う 眠れない夜
あの時から一瞬も経過していない 記憶の落とし穴
愛 示す 決別の町へ ゆっくりと入る
故郷を過ぎ去り 新しき土地をも脱ぎ去り 重厚な門は開かれた
現れるは 溢れんばかりの子供達
あなた達を救いに来た そして僕自身 救われに来た
今まで現実は何も始まっていなかった
君たちを置いてきぼりにして 新しい自分の夢だけを見ていた
かつての仲間達は 別々の道へ 愛を探し 力を探し 始まりを探しに
心 死にかけても 温もりは消えない 熱い葛藤は妨げられない
病を患い 体ボロボロになろうとも やり遂げねばならぬ事がある
複雑に枝分かれした川が一つになった時 僕は形を残す
跪き 涙 流し 横たわり 呼吸する

ここは地球か ・・・・・・

時間は常に遡り 目は頭の後ろ側へ移動する
走り出す まだ間に合うか 掛け替えのないものたちよ
僕を取り囲む町は 姿を変え 色を取り戻し 体で触れ合い 五感を取り戻し
欠落していく言語 人一人と向き合う純粋
人一人も救えないと涙した夜は 決別の町へ ・・・・・・

僕は必ず君の元へ帰る
僕は必ず、
君の元へ帰る。


自由詩 深夜の鉄道 Copyright 狩心 2006-08-31 08:52:05
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