新連載?はっとりんは今日もゆく〜その一〜
服部 剛

私は今、顔を猿のごとく真っ赤にして酔っ払っているのである。 
なぜ酔っ払っているかって?
それには深い、深い、わけがあるのである。 
女に振られたって?
そんなのは日常茶飯事朝飯前である。 
だるまのごとき転がり続けるわが人生なのである。 
らいくあ・ろーりんぐすと〜んなのである。 

冗談はさておき・・・顔を真っ赤に酔っ払っているわけは、
今日は「思い立ったら吉日」と思い、
知人の「口琴」なる楽器の音色を、
1週間の仕事を終えた土曜日の夜に、
まったりと、心地よ〜く聞こうと思ったのである。 
しかも、江ノ島と海が見えるらいぶかふぇでである。 
ろまんちっくではないか。ひとりではもったいないではないか!
なぜひとりなのだっ!(怒) 

さてさて・・・入場料1どりんく\3000払い、
店内に入ると、僕の知人が見当たらないではあるまいか。

「まぁ〜そのうち出てくるだろう、時間が押すこともあろう」

と一人そふぁーに腰かけたのである。 

(しかし、この騒音のごときクラブ状態は、
 私が求める世界ではないではないか・・・ 
 私は夜の海をひとりみつめながら、 
 ろまんちっくに、落ち着く音色に耳を傾けたいのである。)

まわりには湘南の若い男女が楽しそうに 
DJが流すテクノに肩を揺らしながら談笑しているではないか。

私はひとりここで何をやっているのであるか。 
なぜに私は一人そふぁーに腰かけ
詩集なんぞを読んでいるのであろうか・・・!

 嗚呼・・・ 
 
腕時計を見ると、ライブ開始時間からすでに45分を過ぎ・・・ 
おい、知人よ、私の知人よ、君はいずこへいったのだ。
なぜに私をひとり待たせるのだ。さみしぃではないか。 

(ふと、イヤな予感が脳裏をよぎる・・・) 

(もしかして、ライブは、きのう・・・?) 


そうして私は焼石に水、ならぬ
焼け石に、らむ・こーくをぐいっと一飲みして、
店を出て、若者たちの花火が無数に上がる
片瀬江ノ島海岸に

「ばかやろおぉ〜〜〜・・・!」
 
と叫び、しょんぼりと力なく手を上げ、たくしーを拾い、
さきほど、わがやに帰って来たのである。 

わがやに帰り、玄関を開くと、
ふすまの向こうから祖母が

「おかえりなさぁ〜〜〜ぃ」

と細い声。

「なに、日中の散歩で熱中症になりかけて、
 救急車にお世話になっただと・・・!?
 だからばーちゃんむりはしなさんなといったではないか
 いわんこっちゃない・・・」 

ところで、今日の入場料とたくしー代の\3740、
どぶ川に捨てたようなもんやないか〜(大泣・・・) 
どないしてくれるんや〜〜〜おれの馬鹿、馬鹿・・・! 

祖母も孫も、ふんだりけったりの1日である。 
「思い立ったら吉日」のつもりが、
「気をつけよう、ライブの日付は忘れずに」
というメモ帳に曲がった下手な字で書いた
教訓のみが今日のさみしい収穫である・・・ 

あぁ、らむこーく1杯で酔っ払い、頭がかゆい、足がかゆい・・・ 


ところで、今日から突発的に始まった
「はっとりんがゆく」では、日常の、面白可笑しな出来事を、
時々皆さまにご報告させていただければ幸いと思い、
何を思ってかはじめてしまったのである。 

そもそもあれは3年前・・・
職場の老人ホームでの敬老週間の出し物で、
一人芝居「はっとりん」を公演し、
だぶだぶの黒服に白塗りの顔でお年寄りの皆さまの前に
よたよたと登場したのがはっとりん誕生の瞬間でありました・・・

あの日以来・・・はっとりんは日常の私の胸の中に生きており、
日々おバカなことをしては、
周囲の仲間をずっこけさせているのであります。
私のそんな1面を皆さまにもご報告すべく、
この新連載を、時々気まぐれに?
続けていきたいと思っております。 

皆さま、日々、人の心の愛を求めて、腕を伸ばしては、
バナナの皮にすべって転ぶ、
はっとりんを、今後、お見知りおきいただけますよう、
よろしくお願いいたします。 

それでは感動?の「はっとりんは今日もゆく〜その1〜」
これにて、めでたしめでたし。 


       

   〜〜〜〜〜幕〜〜〜〜〜 





散文(批評随筆小説等) 新連載?はっとりんは今日もゆく〜その一〜 Copyright 服部 剛 2006-08-27 01:19:56
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