僕は電車に吸い込まれる振りで 人ごみを掻き分けて逆走するという想像を忘れない
藤原有絵
戦う出で立ちで
挨拶切って
僕の名前が記された
紙切れを配って回る
相槌のタイミングは重要視していて
ぴりりと緊張さえ走るけれど
親切な笑顔に報いがあるかは
正直わかっていない 未だに
分かるため頭を使って
分かるまで言葉を尽くして
枯渇するまで注ぎ続けるという意志
僕は電車に吸い込まれる振りで
人混みを掻き分けて逆走するという想像を忘れない
勇ましく大手をふって歩く事に
誰かが顔をしかめても
構築される様々なものに紛れて
それも含めて層を成す
やがて絶えるときには
愛する人にさっくりと裂いてもらいたい
千切って
千切って
残痕から
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