泡のごとく
水居佑梨
君のことを忘れようと思った一週間前
海に臨むその先を見つめ人魚姫が人間になったことを知る
君のことを忘れようと想った五日前
遠くの国で白雪姫が毒リンゴを食べてしまったということを耳にした
君のことを忘れようとした三日前
心の隙間を埋めるかのように
月を祈るようにじっと見つめていた
君のことを忘れようと決意する一日前
月は明かりを灯すことなく
黒光りを放つ海面に吸い込まれる気がした
人魚姫は泡になってしまったことを いま 知った
自由詩
泡のごとく
Copyright
水居佑梨
2006-08-25 22:07:47