美しい夜に
大覚アキラ

夜のてっぺんに貼りついた
白く滲んだ月が
匂い立つような美しい夜

今夜もまたあたりまえのように
誰もが
それぞれの生を生き
それぞれの死を死んでいく

いま
ここでおれが生きているのは
ほんとうにただの偶然

そう
永遠も
絶対も
この世界には存在しない

今日はとても疲れた
どこかへ逃げてしまいたいと
心の底から祈りたくなるほど
疲れている

ひとりで逃げるなら北へ
ふたりで逃げるなら南がいい

ほんとうに
そうかな

ああ
なんだかもう
なにもかもどうでもいい
どうでもよすぎて
涙があふれてくるよ

神様!!!

いますぐに
おまえを呪い殺してやる

この
美しい夜に


自由詩 美しい夜に Copyright 大覚アキラ 2006-08-25 01:37:41
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