プラネタリウム
草野春心



  音ではなく 音楽
  色ではなく 絵
  そういう星


  メロディも無く 心に忍び寄る星
  思想も孕まず 真実を弄ぶ星


  僕たちの住む この星


  なんて狭くて 息苦しい
  悲しいくらい あたたかい


  ノックも無しに 僕たちはその中に居た
  出る方法は忘れた
  でも見たくて知りたくて
  飛行機を作ってはまた壊す


  出られなくてもいいと分かったとき
  君の手を握っていた


  輝いてはいないんだ 星は
  光ではないんだから


  やさしくはないんだ
  にんげんではないんだから 星は
  たいせつなものを守ることさえ出来ないんだ


  未来を願うことが出来るのは にんげんだけ


  恋びとじゃないものに
  こんなに焦がれているのは
  恋びとが居るから


  星は永い
  そしてまっすぐだ


  僕たちは短い
  摘まれれば萎れてしまう


  ここを出てゆかなくても
  ちいさな星を作ることは出来る
  ちいさな星はそのなかに星を隠している


  そうやってどんどんちいさくなって……
  消える時になっても誰も気づかないだろう
  彼らの 周りにある星に


  それでいい
  まわりつづけよう


  君の手を握った僕の手が
  すっかりしわだらけになるまで



自由詩 プラネタリウム Copyright 草野春心 2006-08-22 20:58:51
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