ギルドの唄
海月

八時間労働の中で光を浴びない日々が続いている
ロボットみたいに無表情で無難に仕事をこなす
ただロボット違うのは愛想笑いが使えるかどうか
生真面目で左右に目もくれずに真っ直ぐ進むだけ
それが嫌なら辞めてもいいが生きる為には仕方ない

大切な時を謙譲してまで生きようとする
それなら他の仕事を探した方がマシだ
そうして、人の上に立つのは自分の部下
餌を与えて餌を貰う
ビールのつまみが差し出されて気づいた
貰う側になったのは人間かもしれない

世話しごとをしてその見返りを期待する
その心は昼食代が物語る小ささ
カツ丼一杯ぐらい奢れる様になったら
人として、いや、ギルドになれるだろうか?
ロボットままで生涯を終えるのなら
ギルドになってやろう

その光は思いの他に眩しかった
薄汚れたスーツをクリーニング代すらも払えない
それでもロボットみたいに暗い所にいるより大分マシなんだ
子供の頃みたいに泥だらけになれるのならそれで満足なんだ
機械じゃないから公園の噴水で水浴びでも出来る
それが嬉しくてギルドになれて良かった
その事が本心から思えた




自由詩 ギルドの唄 Copyright 海月 2006-08-22 15:35:27
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