ギルドの唄
海月
八時間労働の中で光を浴びない日々が続いている
ロボットみたいに無表情で無難に仕事をこなす
ただロボット違うのは愛想笑いが使えるかどうか
生真面目で左右に目もくれずに真っ直ぐ進むだけ
それが嫌なら辞めてもいいが生きる為には仕方ない
大切な時を謙譲してまで生きようとする
それなら他の仕事を探した方がマシだ
そうして、人の上に立つのは自分の部下
餌を与えて餌を貰う
ビールの肴が差し出されて気づいた
貰う側になったのは人間かもしれない
世話をしてその見返りを期待する
その心は昼食代が物語る小ささ
カツ丼一杯ぐらい奢れる様になったら
人として、いや、ギルドになれるだろうか?
ロボットままで生涯を終えるのなら
ギルドになってやろう
その光は思いの他に眩しかった
薄汚れたスーツをクリーニング代すらも払えない
それでもロボットみたいに暗い所にいるより大分マシなんだ
子供の頃みたいに泥だらけになれるのならそれで満足なんだ
機械じゃないから公園の噴水で水浴びでも出来る
それが嬉しくてギルドになれて良かった
その事が本心から思えた