縫いぐるみ
Mélodie

潰れていく記憶の狭間を縫い合わせる

はみ出した綿はすでにセピア色に黄ばんでいて
新しいものを幾ら代わりに詰め込んでも
最初の中身は洗い流せない

それならいっそ捨ててしまおうかと
悩んだ末にカレンダーをめくって
見慣れた日付と粗大ゴミの日が
同じ日だと気づいたら少しだけ可笑しくなった

耳のとれかけたうさぎの目は
乾いてしまった私の目の代わりに
赤いプラスチックの瞳をしていたから

私は別に哀しくなんてならない


自由詩 縫いぐるみ Copyright Mélodie 2006-08-22 15:26:52
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