「痒み止め」
服部 剛

しゃわーで汗を洗い流していたら 
いつのまにくるぶしかゆかった 

ぽちんと赤いふくらみに 
指先あてて、掻く爪先も
痒みのしんには届かない 

見逃していた
身の回りの小さい幸せと心配事の数を 
指折り数えて比べてみる 


過去という名のぶらっくほーるへと吸い込まれた無数の「昨日」と
目の前に空白の日記帳を広げる「明日」との間で、「今日」という
日の境目にしゃがんだ私は、全ての心配事をほっぽり投げた片手に
チューブを持ち「痒み止め」のくりーむを踝の赤いふくらみに塗る


空白の日記帳の中に 
黒い足跡の道をつらねてゆく 

この足に 








自由詩 「痒み止め」 Copyright 服部 剛 2006-08-22 15:18:44
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