遠鳴り
ミキ・オキタ

ゆらり
夜の風が吹いた
───秋の、少し燻んだ色の、淋しげなにおいの風だった

8月の盆過ぎ、夜半
クーラーを止めて、窓をあけていたんだ、窓を───
扇風機ひとつで
扇風機ひとつで

ふわり
舞い散る純白の粉雪が、逆流した
ごとり
冷えた麦茶のつがれたガラスのコップ
僕は取り落とした
僕は取り落とした───

ゆらり
そよ風だった
───秋の、少し燻んだ色の、淋しげなにおいの風が笑う


自由詩 遠鳴り Copyright ミキ・オキタ 2006-08-22 02:57:27
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