小径の人
藤原有絵

夕立にぬれた雫で
木々が深く息をしている



この道を歩いていたら
貴方の事を想っている

貴方に名を教えた花は
今年もまた咲いている


言葉を募らせた秋も

歩み寄った冬も


別れを決めた
あの春の終わりも


季節は正しく時を刻み
貴方はもっと逞しさを増して進んで行く


小径に宿る憧憬は
いつもわたしを爽やかにさせて

残る事無く風に攫われていく


また逢えたなら

この小径を歩けたらな


曖昧な想いに
また こうしてひっそり笑い


この小径をね
自転車で走って行く男の子


季節はね
いつも私を勇ましくさせるから

また必然は
どこかで
貴方と私を引き合わせるでしょう


そのときならば
この想いのようなもの

きっと綺麗に流れていくでしょう




自由詩 小径の人 Copyright 藤原有絵 2006-08-22 02:28:17
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