小径の人
藤原有絵
夕立にぬれた雫で
木々が深く息をしている
夏
この道を歩いていたら
貴方の事を想っている
貴方に名を教えた花は
今年もまた咲いている
言葉を募らせた秋も
歩み寄った冬も
別れを決めた
あの春の終わりも
季節は正しく時を刻み
貴方はもっと逞しさを増して進んで行く
小径に宿る憧憬は
いつもわたしを爽やかにさせて
残る事無く風に攫われていく
また逢えたなら
この小径を歩けたらな
曖昧な想いに
また こうしてひっそり笑い
この小径をね
自転車で走って行く男の子
季節はね
いつも私を勇ましくさせるから
また必然は
どこかで
貴方と私を引き合わせるでしょう
そのときならば
この想いのようなもの
きっと綺麗に流れていくでしょう