ミスト
umineko

一滴の私は
無数に砕けて
無数の私

意識
もう
瑣末なことは
見えない
見たくない

ことば
ことばにまぎれ
あなたが見ているのは
ことば
私ではない

無数の針を私は受ける
だが
それも些細なことだ
私には理由があり
あなたには義務がある
立ち向かうのは
ことば
弱さでも
あきらめでもなく

ミスト
一滴の私は
無数に砕けて
さみしいからあなたのそばにいる
あなたからは見えないだろう
そんな場所で

あなたをしあわせにもしない
あなたは
なにも知らない
ただ霧のようにあなたを追う
あなたの今日が平和であるなら
それでいい

あまやかな童話も
祈りもいらない

ミスト
無数の私

今日もただ
ことばをなげて







自由詩 ミスト Copyright umineko 2006-08-19 10:00:47
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