ガーベラ
AKiHiCo

生きている価値なんてない
卑屈になって部屋に篭り切りで
そんな貴方にも差し出す一輪のガーベラ

生まれてこなければよかった
そんな人はこの世には誰もいなくて

手に入れなければよかった
そんな物もどこにもないから

怯えてそこから出られない心を
どうか過去に縛られた憎しみを
解いてあげたいのだけれど
心に建てられた砦を取り巻くのは
あの日の憂鬱から育った蔦

生きている価値がない人など
どこにもいないから
どうして生きているのかと考える前に

生きて生きて生きて生きて

貴方を追い詰める人達から私が
全てを守ってあげるから

その閉ざされた部屋のカーテンを開けて
眩しいと感じる程の陽射しが
貴方を迎えてくれるから

どうして生きているのかなんて
今判ってしまったら
悲しいだけだと思うから
全てが見えてしまった命はつまらないでしょう

横たわっているだけでも
そこに貴方がいる証
床にガーベラを置いておくから
辛いのは貴方だけではないから
悲劇の主人公に浸るのもいいけれど

その部屋から出られるようになったら
このガーベラを窓から投げ捨てて



自由詩 ガーベラ Copyright AKiHiCo 2006-08-14 11:43:02
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