ノート(ひとり ひびき)
木立 悟




鳥が くわえたたましいを
離すたびに緑は深く
深く 深く
枝は水紋


土に落ちた花が集まり
さかしまに笑む紫陽花もいて
水は灯る
水に 灯る


鏡に映る鏡の奥で
曇は浅く砂を踏む
水すくうかたち
こぼれるかたち



鳥のくちばしのあとのついた
小さなたましいが花のなかにいて
指で水をなぞりながら
空ゆく鳥を見つめている



ひろがりつづける輪の上に
星のように緑は爆ぜる
原は水紋
空は水紋



水は鳥になり鳥を追い
鳥は鳥のまま遠去かる
たましいの胸
たましいの夜














自由詩 ノート(ひとり ひびき) Copyright 木立 悟 2006-08-13 19:54:29
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