転換
mamei

哀れ

彼女の吐いた息の白さに何人の男が感嘆の息をついただろうか

少女から女に変わるその間に
いくつもの帯をまとって帯の隙間からこちらを眺めていた 
彼女

波を超え、山を掘り、花を浴びる
繰り返すたびに女に変わっていくその姿を
昔のままに留めんと父母が家にはりつけた

哀れ

彼女は翡翠色の涙を流しては三重の底に世界を見た

触ればぬたぬたを音をたてて体に張り付く 漆黒の沼の
鮮烈な赤のつぼみの中で
いくつものシフォンに包まれていたその時、
五千の針を持つ旭を目の前にして
それは崩れ落ちた

彼女はその時
現実の果てに夢があることを知ったのだった



自由詩 転換 Copyright mamei 2006-08-13 11:39:06
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