佐藤伊織

階段を登っているうちに
背中から裂けてしまわないように
いつも注意を払い

吊革に掴まっては
ゆらゆらと
ボウフラは夏血を吸いに

人の群れから
うっすらと伸びていく一本の
茎が
枝分かれをしながら交差点を
覆い尽くす

点滅

夏の夜を
電光せよ
電光せよ
電光せよ


自由詩Copyright 佐藤伊織 2006-08-06 23:09:49
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