なつつゆめ
本木はじめ


茶事



チューリップどくたあすとつぷさへぎられ


永遠に蝉の抜け殻さがす午後


誕生日なずなに今日をうばはれて


一大事つばきの花びらひとは落つ





遠近両やう



近づいてみればみるほど百合である


杉林ぬければ崖の心地よさ


群生す百合からはなれ描く山





サマーゴースト



放課後という名の籠の死蛍や


思い出す途中でやめる夏の崖


轟音と怒濤を受け止める浴衣


叶わないことが真夏のお約束





DEADLYCOWS



でどりかうずゆめのまにまにひびく歌声


蝶の影色はどこにも見当たらづ


永久歯うしなう終戦日の真昼


エリーゼのために葬る夏の庭






俳句 なつつゆめ Copyright 本木はじめ 2006-08-06 16:50:27
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