あとづさり
便乗鴎

 
 ひとのあいだを釣り合いながら 
 吊り合いながら避けながら
 携帯を閉じ閉まって 時間を忘れて 
 遅れた言い訳の足しにするんだ
 きみはきっと 僕を攻めることなんてできない
 僕がきっと きみを攻めることなんかできないから
 好きというのもあるし 遅れる時間も少しのことで
  そして多分昨日は 明日は きみが遅れるから。

 物事が巧くいかなくって
 バスに乗り遅れて歩くことになっても
 その徒労でもってきみは 昨日と、明日の分の遅刻以上の説得力を
 持つこと出来ないよきっと

 待ち合わせ場所には夜の冷たい風だけがいて
 ふたりとも約束の時刻その瞬間に目を合わせられないなら
 まだまだ付き合っていられるだろう
 だんだん暗い深い方へ互いあとづさりしながらね

 


自由詩 あとづさり Copyright 便乗鴎 2006-08-03 21:51:28
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