★36 マボロシ
貴水 水海

この道を通ると

君を想い出す

君は本が好きで

いつも本を抱えて角の本屋から出てきた

本で手がふさがってると

にこっと笑った君

手を小さく振った僕

君は幻だったのかい

別れるために

出逢ったわけじゃない

傷つけあうために

互いを抱きしめたわけじゃない

君は幻だったのかい

2人の物語を

僕の心にだけ

置き去りにして

消えた

この道の

角の本屋を曲がると

もう君はいなかったね


自由詩 ★36 マボロシ Copyright 貴水 水海 2004-03-02 22:04:31
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