水槽の魚と夜の蝶
麒麟


見渡す風景は透明な水色
水の中より君を見る
舞う蝶よ
ここでしばしお休みなさい

厚いガラスに気付かぬふりで
我らはしばし寄り添おう
夜になれば
きっと境も忘れよう

羽を休める君と
水流に逆らう我と
触れ合えないが
同じ夜に寄り添おう
そして恋を語るのだ
我が髭の揺らめきを笑うのだ
ため息を、君がつく度に
月色の粉が波をうつ

水の中から眺めていたのだ

朝日と共に
羽は空に溶けた
君は何れかの水色
かの花畑へ帰ったのだろうか

明日はどこをさまよおう
この狭い水槽で
いずれ朝日と共に
我もかの海へ帰るのだろうか…



自由詩 水槽の魚と夜の蝶 Copyright 麒麟 2006-07-24 02:36:36
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