星砂
さき

ウエッジソールのサンダルなんて
3年たったら過去の遺産
昔はやった厚底サンダル
今年のウエッジソールと何が違うの


星型の砂を探して
海に行こうと決意した
私はふわふわと波に乗る女
箪笥の肥やしは山ほどあるけど
今年着ることが出来る
キャミソールワンピはどこにもない


夜の海って不気味だけれど
とても素敵ね
アナタの夜釣りについていって
星の落ちる場所を見つけた
あそこにきっと星砂
私の求めるものがある


ヤドカリの貝を集めて
私は自分の居場所にすることに決めた
求めるものほど手に入らない
だからなお更欲しくなる
痛感して痛感して
また痛感して
アナタの手を握った


ごめんね
アナタも欲しいものじゃない
寂しい時の間に合わせ
夜明けの砂浜
私はひとりで泣いていた
サンダルの中には砂が入って
とても痛くて
まだ見つからないのと大声で叫んだ


声がかき消される
波の向こう
星が落ちた砂浜
自分で行かないと行けないのね
あそこに向かう潮が見つからなくて
途方にくれた


赤い車も
青い電車も
私の行きたい場所には連れて行かなくて
使えないサンダル
気に入らないワンピ
今日手にした貝
全部脱いで
夜が明けようとする
夜が明けようとする
夜が明けようとする
海を





泳いでいくことにした





自由詩 星砂 Copyright さき 2006-07-23 22:07:28
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