夕日とMと私の詩 三つ
さくらほ
* 逢う魔が時 *
逢う魔が時に
夜が浸透してゆく
何も起こしてはならぬ
何も触れてはならぬ
何も感じてはならぬ
まなざし以外は
重ねてはならぬ
流されてはならぬ
逢う魔が時に
* 夕時の風 *
手のひらを
夕日に向ける
私の手が
赤く透けて
風を歌う
歌え
この無常の世に
生まれては消える情を
この燃える手に
何をつかもうか
ほしいものは
全てあの夕日の向こう
届くものは風
ただそれだけ
* 夕焼けの詩 *
ねえ
してはならぬ恋だから
あなたの笑顔が
まぶしすぎたのかもしれない
あなたの優しさに
何度もおぼれようと
思った事もあったんだ
もう
あなたに
会わないけれど
あなたのいた風景に
あなたを
探してしまう
あの夕焼けは目にしみると言ったら
「ばあさんみたい」と笑ったね
二人を包んだあの夕日は
夢うつつに
遠い記憶
許されると
許されようと
思っていた
あの夏の日