雲路
こしごえ

   異花ことはな雲夜くもよにしんわりんと咲き


翼よ
きみはなぜ
はたたくのか
熱く青くはためくからだ
その空間を根幹となし
風の性霊を動力とするためか
花びらのつめたいうすさをかしげる きみ

しべの住者の薫りの末端に
繋属けいぞくしている連鎖の過程が
誘引する鳴き声の
先細りしていく震えの正体
光に佇む季節の裸体の
青白い指向性

舞い降りる訪問者

 わたくしは、影と離縁しようと空を見上げ
るが、爪を伸ばし髪を伸ばし視線を伸ばし、
目をつむることを知らずに
夢を見送ってばかりいる。
戦ぐ風の影

舞い上がる翼の夢

地上に影を落しながら旋回している幽体は
理由わけもなく口を開ける
静かな家ひっそりと
暗く暗く暗くいとまもなく零れる
未来の重さ
疼く羽の跡

きみは笑う
声も無く
今や
熱く青くはためくからだ
さえずりの降る








自由詩 雲路 Copyright こしごえ 2006-07-18 11:25:13
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