フー(あらゆる)
黒川排除 (oldsoup)

やすらぎホームに行くバスさみしい道路にしていく

夜が攻めてくる日を嘘で塗り固める

屋根の上はいつも空もう窓を開けない

餅飛び去る洋上いまさら焼け始め

裾から施設がはみ出てうずくまる路上

振り上げた竹刀にも似てエレベーター

午後は庶務ですピンポーン閉じたトランクから

泣いて逃げるいとこの子足元に風鈴拡げ

風受けてふくらむ川に象並ぶ

塩を盛る半透明になりかけて

鶴の影雪原覆う頃誕生日

ものかげに休憩している花と空気

浮力にて鳥を促す谷の底

波をひとりと数えるならふたりきりの夜

淡い思い出の中に靴磨きの亡霊

傷む月を背に手紙待つ黒山羊伯爵

何のため朝であり夕方である空

鉄串刺し花が供えてあれば死地

風吹いて影も形も入れ替わる

雫が雫であったとき街はいちぐらむ


川柳 フー(あらゆる) Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-07-18 00:00:05
notebook Home 戻る