単純な歴史には時間が掛かる
狩心
父が去っていく
砂埃が舞い 少しずつ遠い物にしていく
ずっと見つめ 目の痛み
湖から立ち昇る幻想
ああ 父よ ああ 父よ
数ヵ月後に来るはずだった暑すぎた夏
白いシャツ一枚の二人ふらり祭り
団扇持って歩く 寂れた商店街の先
競馬場の花火大会 失っていく
* * *
成人して初めて訪れた暑すぎた夏
二人ふらり祭り 黄昏を呼び込む 最初で最後の夏
暗黒の空に昇り行く希望の光 そこから放たれる爆音
人々の心を貫通していくミサイル
少しずつ 被爆していく
込み上がる思い 伝えられなかった思い
全てアンタにぶつける
それでもアンタは心を閉ざしたまま
受け入れることはない
哀しい後ろ姿の男よ
一つの歴史が終わった
* * *
親の遺伝子を受け継ぐ自分への恐れ
度重なる挫折 回り道して途方に暮れる日々
諦め掛けていた時に一筋の光 運命の晩婚
時はゆっくりと着実に流れる 血と汗と涙の結晶
背中に乗せる 与えられた小さな命
新しい歴史に 類稀なる愛を誓おう
* * *
憎むべき過去はない
育むべき未来がある
国と国との戦争も 差別問題も
こんな社会は嫌だと嘆く人々も
歴史は あなたから変わっていく