被虐
AKiHiCo

悲しみが滲む蒼穹の果てが
ゆっくりゆっくりべにに染まってゆく
そんな表情かおをしないでと宥めるように
隅から紅が侵食されて悲しみが消えて

心に翳が射すのを必死で誤魔化そうとしている
大事なこの心を
決して憎しみで染めないように
その蒼を誰にも理解されないまま
静かに紅は痛みを塞ごうと涙を零した
私さえ我慢すればそれでいい

無理矢理に造った笑顔に伝う痛みは
見ない振りをしていれば現実など砕け散るのだから
雲さえも赤く赤く染め上げて
そうすれば私は痛くない悲しみを覚えない
ほら私こんなにも笑っていられる
キミが私を私だけを見てくれる

星が制圧する世界は目映いけれど
それよりも私の心は負けない
優しさだけを与える朗月よりも尚更
私は輝いていられる
ねえ褒めて欲しい一言だけでも
私はそれで全て救われるのに

報われないと心が悲鳴を上げている
両手で視界を零にして
また昇る太陽に喚き嘆き
再び訪れた悲しみと向き合わなければならない
もう誰かここから抜け出す方途を教えて
苦しい事を苦しいと言えない口を嘲笑してもいい
誰かこの痛みに気付いて

拾い上げて人間ひとの手はどれだけ温かいのか
私に伝えて頭を撫でて
もう怯えなくてよいのだと言って

届かない叶わない願いや出来事を空想しては
現実の痛みを受け入れ抗えないで


自由詩 被虐 Copyright AKiHiCo 2006-07-12 05:20:02
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