夏の裸
水在らあらあ



?.

(じーっとお空を見上げている
 僕の屹立)


寝過ごして
宿酔で
テラスにでて
サボテンと一緒に
太陽をあびて

磨いていたら
人前で裸になることは
特にいけないことではないと
思いました
今日
 
それは
向かいの公園で
ブルドーザーを
うんうん唸らせてる
おじさんの日に焼けたまあるい裸と
黄色いブルドーザーの
一体感、あれはもう、
合体だ。
 
そして海のほうへ歩いてゆく
サマードレスのお姉さん
あなたはもう
絶対下着なんか着けてない
絶対なんにも着けてない
そうじゃなかったらそんなふうに跳ねない
 
もちろんブルドーザーのおじさんは
口笛をきれいに吹きあげる
僕も真似するけどまあ下手くそだから
気持だけ取っといてくれ
 
(それでも振り向いて
 にっこりするのがこの街、海辺の街。)
 
それでね
自分もね
はだかになって
ずっと
ぶらぶら
文字どおり
一日
外出るときは
一応布きれを腰に
まあ
安い
ワイン買いにね 
近いからね
 
それで
君が帰ってきて
思うことがあったのだろう
帰ってきたらすぐに
あんたあたしのことどう思ってるの
そう聞かれたけれど
なにも
言わなくてよかった
だって
裸だからさ
振り向けば
いい
 
まあ
夏は
そんなんでいい 
 
(でも、歯は、たてないで)
 


?.
 
浜辺は
何百っていう
天使であふれている
自然だと思う
その天使たちは
ねころんでる
日焼けしてる
ビーチバレーしてる
三点倒立してる
お手玉してる
カポエイラしてる
太極拳してる
お城作ってる
何人か埋められている
くすぐられてる
犬追っかけてる
ディジュリドゥふいてる
貝殻拾ってる
ケバブ食べてる
波乗りしてる
シャワー浴びてる
飛んでる

僕は君とそういった
海水浴場を
真っ白い天井に
思い描いている
本物はすぐ外にあるけれど
そっちはもういい
想像するだけで
たくさんだ

それにしても
少しやりすぎたね
うんざりするくらい
思い描いちゃったから
少し離れた岩場のほうに行こうか
あそこならきっとだれもいないし
魚たちと泳げるし
イカ獲れるかも知れないし
ねえ、
あれ、
眠ってるの、
 
じゃあいいよ、
ちょっと、潜ってくるから…


(眠る君に僕は囁く、
 人魚の男が拾い集める、死んだ海賊の魂の話)

?.
 
え、
あ、そう。

いいかげんパンツ
穿けって
 
いや 
君が
もう一度脱ぎなよ

だってまだ長いぜ
この夏の
日が暮れるまで
 
 
 


自由詩 夏の裸 Copyright 水在らあらあ 2006-07-10 22:23:09
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