砂嵐の夜には
あおば

少数の人を
むんずと襟首を捕まえて
生きたままに牛刀で
切り刻んで佃煮にして
それから
火炙りの刑にして
その香りを楽しんでいる
今の世には
そんなこと無いよねと
念を押したら
たぶんと
生返事が返ってきて
テレビのスイッチを
ボチンと押して
ワールドカップサッカーを
みんなで眺めている

砂嵐の夜には
生き埋めにならないように
駱駝の首に長い縄を付けて
自分の足に結んでおくのだと
不思議な説明を聞いて
無理矢理納得させられて
未だに信じている

砂漠の舟とも呼ばれる
駱駝は四つ足を櫂にして
砂上に浮いているから
嵐が収まったら
縄を手繰れば
なんとか砂上に
浮き上がることもできる






自由詩 砂嵐の夜には Copyright あおば 2006-07-08 02:39:37
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