さらさらと、砂漠を閉じこめて
たりぽん(大理 奔)

砂で掻き取られた
昼夜の温度差の
割れ目で苦悶し
空と接する果てまで
寡黙に散在する
岩とは、ただある
と、いうことなのです

それらがこの砂漠の
紛れもない住人で
そして私は血肉を詰めた
ただの葡萄という果実で

  薄っぺらな意地の
  貧弱で弱々しい
  薄皮一枚
  それが世界との境界線

葡萄達は焼石灰コンクリートの街
はじける恐怖も知らず
裂ける戦慄も忘れ
染み出る果汁を
舐め合っているでしょう

  雲を純白に射抜いて
  無慈悲な明るさが
  偏光グラスのプリズム
  を、揺らす
  砂漠という在処ありか
  薄っぺらな硝子の境界線で

はっ、まるで
葡萄のようじゃないですか
さらさらと
、砂時計






2005-08-01 自由詩投稿「砂漠葡萄行:クチャ」全面改稿


自由詩 さらさらと、砂漠を閉じこめて Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-07-06 00:13:08
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
葡萄白書