忘れ物
松本 卓也

ある日ひょっこりと
君から連絡があるかもしれない

そう思うと
携帯を家に置き忘れた事が
不安で堪らなくなる

そんな事ある訳ない
分かってるけど

胸ポケットに
願いを一つでも
入れておかないと

時間を経るごとに
がらんどうの中に
寂しさが詰っていく

たとえ急いで戻っても
君からの着信なんて



ないのに



昼休み
自転車を借りて

消し忘れていたクーラーのせいで
冷たいままの部屋に飛び込んで
ディスプレイを眺めたけれど

滲んだ汗が一筋
頬を伝って落ちていく


自由詩 忘れ物 Copyright 松本 卓也 2006-06-28 01:32:24
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