月夜に溶ける、
夕凪ここあ

少女の
黒い髪に
よく似合う白さ
細い指に
切り揃えられた爪
あれは三日月の晩
まだ七つ、八つの頃
少女の
透明な瞳の中に
飼われた金魚
昨日の晩は
綺麗な橙をなびかせて
少女が眠る隙間に
あぶくを吐き出すほどに
水面に溶け出す夕暮れ色
少女は知らないまま
昨夜の金魚が
夕暮れに似ていたことも
瞳が夜を映しすぎたせいで
上手く眠れない
少女
七つ、八つの頃は
とうに過ぎたまま
もう
少女と呼ばれない


自由詩 月夜に溶ける、 Copyright 夕凪ここあ 2006-06-28 00:56:31
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