遠望
霜天

遠くを見ています
遠くを見る、街はやがて浮上します
見つめるものはいつだって純粋なものを零していくので
俯けば私の、足跡だけが追い越していく

浮上する声の下で、見送る人がいます
誓いに誓いすぎて追い詰めていく人は
足跡が重なり続けていくその隙間でさえも
難しい数式のように、深く沈んでしまうから


時々には休む呼吸がほしいので
雨に応える軒下で傷を避けるように語り合う
悲しいことをかなしいと、いつから難しくなったのだろう

街はやがて浮上します
高い空から見る景色は、とても小さいので
いつだって私たちは、そこから零れてしまう


自由詩 遠望 Copyright 霜天 2006-06-24 01:05:05
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