カッコウ  オウム  キツネ ・・・・・
杉菜 晃

 

    カッコウ


  人里に来たカッコウは

  しきりに

  何かを告げようとしているが

  村はあいにく農繁期

  耳をかしてはいられない

  そこでさすがのカッコウも

  唄の途中で飛び去った

  揺れているのは電線と

  鳥の残した思いのみ





    オウム


  都会の片隅の喫茶店では

  店先にオウムを飼っていた
   
  客のある度に

  狭い篭の中から

  バカ バカと呼び掛けていた

  それでも

  けっこう客は入った

  お世辞を言わないというので





    キツネ


  奥深い谷間の村では

  夜になると

  周りの山でキツネが鳴いた

  これから村を侵略するぞと


  これを撃退するには

  各々の心に

  火を焚く以外になかった





   藤棚


  花の下に

  隠れようとして

  やって来たのであったが

  かえって

  目立つものと

  なってしまった







   背泳の不幸?



  背泳の泳者は

  日輪を

  一つずつ抱え込んでいく


  初っ端からこれだと

  もう栄冠など

  目には入らない





自由詩 カッコウ  オウム  キツネ ・・・・・ Copyright 杉菜 晃 2006-06-22 01:13:20
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