風景
松本 涼

モノレールが優しく横切るその前の
鉛色の河で小船たちは寡黙に佇む

足元では何匹もの大きな蟻が
その身体と同じ程の大きさの
荷物を運びながら行き交う


小さく跳ねながら近づき
離れる二羽のすずめ

少し離れた工事現場から
響く律儀な機械音

忘れられた花壇の花は
開き過ぎた花びらをまだ
原色に染めたまま空を仰ぐ


精一杯の背伸びをして丈の低い木の
葉の匂いを嗅ぐ茶の野良猫

残りの休憩時間を気にしながらも
想いと離れた表情かおを休む
時計を持たない僕


目に映る全てのものが
メッセージであるなら僕は今
何を読み取れるのだろうか

風景というぬくもりの中で




自由詩 風景 Copyright 松本 涼 2006-06-21 22:34:57
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