夏の夜尻
水在らあらあ

港の水に映るのは
それは月ではないのです
港の水に映るのは
それはおしりなのでして

おしりは逃げ出したのでして
僕はそれを追ったのでして
漁船に忍び込んだのでして
追い詰められたおしりは

そこで笑い出したのでして
いたずらそうに破廉恥に
笑うおしりを
僕は愛でるのでして

下から見上げて愛でるのでして
魚と一緒に愛でるのでして
魚が跳ねたら
僕も一緒にぴょんと跳ねて

おしりと一緒にテンポよく
くつくつくつと笑い始めて
おしりは僕を笑わせて
僕はおしりを笑わせて

眠っていると思ってたのに
漁船もぎいぎい笑いはじめて
僕とおしりと船と夜
そう、夜だって笑い出して

でもねえ

街から聞こえるジプシーの
アコルデオンにテンポ奪われ
最後は少し泣いちまって
おしりと僕は泣いちまって

そんな僕とおしりを
月は横目で見てたのでして



自由詩 夏の夜尻 Copyright 水在らあらあ 2006-06-19 20:06:00
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