眠りの回廊 月のランプ
藤原有絵

夜になると
僕は古い回廊にいる

いつからか
その前に何処にいたか

僕には何もわからない


ただ
僕の役割は

窓から注ぐ月の光を
燭台に集めて
灯をともす事

果てしなく続いている
部屋の扉に灯してまわる


扉の向こうで夢を紡ぐ人たちの
眠りを守るため

夢を喰う
あの魔物から


あいつは
醜い体液を撒き散らしながら
鈍い身体を引きずって

夜な夜な回廊に現れる

夢を喰われたら 最後
もう その人間は目覚めるこが ない


ああ

またあいつの足音が聞こえるんだ


蒼い 灯を
君の 部屋にも


朝が来れば
僕も魔物もどこかへ失せてしまう


ここは

眠りの回廊

君の夢を預かる屋敷


未詩・独白 眠りの回廊 月のランプ Copyright 藤原有絵 2006-06-15 22:15:03
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