ヤセイ
水在らあらあ

やっと、
波が来た。
ヤセイに満ちた、
笑う波。砕けてさらに、
あざ笑う波。

細胞
細胞が闘えという
波と
海と

アフロのカマレラもニカッ

親指立てる
走って帰って
おまえを起こして告げて
ヤセイテキに胸を叩いて
細胞が
細胞が闘えという
波と
海と

寝ぼけてるからそれだけ
素直な応援されて浜辺に下りる
俺は今おまえのためにこの海を征服するとか
しかもできれば晩飯の魚も獲って帰るとか
つぶやきながら海に入る

ああ、
そう、
波は、来たんだ。
大きな、本気の、
ヤセイに、
満ちた。


しかし、
いやあ、
ねえ。
その、


女の子も、
来た。


草色のワンピースを着て
白い帽子かぶって
僕は浮かびながら
それを見ていた

波は大きい。
女の子は小さい。

黒髪に、真っ白い肌。
素足で、打ち寄せる波をからかって、
跳ねる。ここからでも、
その嬉しそうな笑顔が分かる。

波は大きい。
女の子は小さい。

いや、

大きい。
ワンピース脱いだら、
大きい。

波は大きい。
しかし君も、
仕事前なのだろうか、
こんな朝早くに、
そんなに真っ赤なビキニで、
君は、

大きい。

ぴょんぴょんはねながら
波と遊ぶ
ぴょんぴょんはねるたびに

大きい。

朝日の中で本当に楽しそうに

大きい。

波は大きい。
君も大きい。

そして僕は易々と波にやられ、
砕ける。
ひどく、
ヤセイテキに砕ける。

だって本当に朝日の中で踊るよう
君は、踊るよう
二度
三度
クロールして
小さな波をくぐって
空を向いた
君の全体が
空を向いた




今朝の僕は
だめだ
ヤセイテキに
腰が引けている






自由詩 ヤセイ Copyright 水在らあらあ 2006-06-14 16:51:15
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