お ん な
葛西佑也



いつまでも、
溶けそうにない
って、 思えてくるの。
この雪の 白い場所で
あなたは ぼくを。

大きな瞳の奥には、
雪の風景、と
ぼくたちが、
マッチングせずに。
まるで、古臭い 
邦画だね。

雪の国の記憶に、
比べてしま ったら
あなた も 
ぼく も
大きくなってしまった。
それでも、
「今が一番いいのよ」 と
あなたの大きな目が言ってる。

いつまでも、
その目を失わないで、
見ていて ぼくたちを。
雪の日は  過去の記憶なの。
それさえも、
埋もれて い、く。



男は、アルコールという
お薬で、ときどきイカレテ
しまうんだ ね。
そんなとき、あなたは
きびしいこえ で、男を制すの

そんなことが、あった夜
あなたはいつも泣いていたんだ ね
それは、こそこそと 行われるの。
まるで、雪の日の儀式みたいに。

なにがかなしいの?って
聞きたくても 聞けなかった ぼく。
そのよるは、 押し殺すような泣き声が、
響いていたの。



あなたが好きな、
香水。を母の日に
おくろうとして
ぼくは、とおくのまちへ
でかけた。
まだ、少年の、 小さな足で。

道に迷ってしまって、
辺りは暗くなっていたの。
ぼくは、こうすい こうすい・・・
って なんどもいいながら、
おまわりさんに尋ねたんだよ
おちゃの おちゃの ・・・


「おちゃの においの こうすいは

どこ?」

って


そしたら、なぜだか
ちょっとして、あなたが現れて
手をつないで一緒に帰ったの
あのとき、ぼくは気が付いた 。
こうすいはあなたの臭いじゃ
ないんだ、って。





自由詩  お ん な Copyright 葛西佑也 2006-06-04 08:47:13
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