さち

男が
美しいものだという事を 知った
骨ばった手も
厚い胸も
大きな足も

上着のポケットに突っこんだ手
そのときの肩から背中が
恋人を待って人混みの中を探す視線
そのときの首すじが
仕事に追われ少し大股に歩く
そのときの膝が

美しいものだと

美しいといえば
装おうとする女
で あったり
ほんの一部の
姿形のよい男
で あったり
そう 思っていたけれど

ふと 気付いた
ときおり無意識に見せる
その美しさ
異なる性に感じる
美しさ

男が美しいものだと
そう見えるのは
私が女だということなのだと 知った


自由詩Copyright さち 2006-06-03 21:19:53
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