音阿弥花三郎

海を埋め尽くす無数の海獣
それらの移動に
海は慄き
激しく毛羽立つ

逆巻く海鳥の交尾
海獣の胴震いに振り落とされもせず
雌鳥は厚い皮膚の皺の狭間に産卵する
そして独身ものは空中を埋め尽くす

これは有名な男の記述だ
その男にはおよそ知らぬ生き物はいない
その男を知らぬ生き物もまたいないのだ

有名な男はそれを食べている
それが骨だけになった時
始めてそれは彼によって名付けられる





自由詩Copyright 音阿弥花三郎 2004-02-19 02:08:58
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