黒点の中心部に焼きついた笑顔を見たい
松本 卓也

無意味な夜更かしの後に
明けた朝の風を吸い込んでも
昨日の残りを埋めきれていない
事実だけが胸に残っている

始業と同時に終業を待ち
帰宅と同時に無限を願い
眠りの直後に目覚ましが鳴り
昨日の僕が言い訳をはじめた

大抵は自己嫌悪の戯言だけど
時々は他人に責任をなすりつけて
自分だけが不幸だと思い込むのを
楽しんだりもしてるんだ

今日は雲一つ無い快晴で
山の天辺に聳える鉄塔も見える
屋上で二本目の煙草を吸いながら
三分後に辟易する僕も居て

最近は特に圧し掛かる自問
何の為に誰の為に金の為に
目的は生存と言う名の妥協だけ
豊かな人生なんて望んでない

底辺に結論を置き去りにして
空っぽの青空に手をかざして
少々元気が足りない太陽の
黒点を見極めようと目を凝らす

何も見えなくてもいい
瞬間を切り出した影絵の向こうで
僕が昔どんな顔で笑っていたか
思い出したいだけなのだから


自由詩 黒点の中心部に焼きついた笑顔を見たい Copyright 松本 卓也 2006-05-25 01:45:36
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