雨音に相応しい詩などみつからないのだから
松本 卓也

風向きは悪くないから
こんな酷い雨でも
窓を開けていられる

国道に何台かの車が
時折行き交っている
その音さえ掻き消すほど

雨足が強くなるほど
1DKの部屋に響くのは
天窓を叩く雨音だけに
収束していくようだ

いつもは耳に響く
秒針の音さえも
流れ降る音に混じり
やがて和音となって

一人で眠るには
少し広すぎるベッドで
水に打たれるイメージ
独りきりで弄びながら

雨音が奏でる鎮魂の調べに
心を静められるのなら
相応しい言葉が無くても

どうかこの夜だけでも
夢の無い眠りに沈んで
安らぐ事ができますよう


自由詩 雨音に相応しい詩などみつからないのだから Copyright 松本 卓也 2006-05-19 01:02:45
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