パンドラの箱
狸亭


ふとい尻尾さかだてて猫の目ギラリ
白兎の胎内に酒はたっぷり
うすよごれた虎はねくたれてくたくた
つくりつけの本棚はがらあきだった。

未明。ゆたかな黒髪に顔うずめて
あふれてくるくやし涙かみころして
うすれゆくみはてぬ夢をとどめようと
しっかり瞼をとじてしばしうとうと。

ゆめかうつつかうつつかゆめか。胸かむ
悔恨。もはやとりけし不能の債務。
時のながれにただながされておよいだ。

さいはての異国の村にたどりついて
パンドラのやわらかい乳房にだかれて
もらった箱の、無重力の怠惰。



自由詩 パンドラの箱 Copyright 狸亭 2004-02-14 21:53:00
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