2月
シャーロット

君は双眼鏡で見えるものだけに手を伸ばした
頭の芯が縺れ本のない図書館のように
視線と物体は空っぽの焦点を結んだ
揺れる木々もなく、鳴く鳥もいなかった
そんな風にしながら沢山の時間を掛けて
僕らは真っすぐ夢幻に戻る

2月は他の月と比べて手足が少しみじかい
けれど僕らはたいくつでは死ねないのだ
手拍子が鳴って記憶は束の間にリセットされ
僕らは現実の中で現実だけをみうしなう

悲しみが美しいものだと仮定してそれが
七色に光るものだと立証すれば僕らはいったいどの
悲しみを信じていいか分からなくなる

あてもなく これもなく なにもない春
塵は踊る 塵は唄い 塵は踊る
桜の思想は散るんだ風花の旅人の
落とした春をひろって植えた


自由詩 2月 Copyright シャーロット 2006-05-10 00:09:24
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