三華遠季節 Ⅳ
木立 悟




夜の中の黒いオーロラ
帯の馬にからみつく蛇
ほどけながら近づく星は
月をかき消す粒の緑
沈むままに 見えぬままに
うごめくものは常にうごめき
まわりながらめぐりながら
夜は水へと傾いてゆく



稲妻が残す淡い色から
雲は何も学べずにいる
風に圧される原と生きもの
枯枝の四方にたなびく湿り気
指のように
そうせざるを得ないかのように
悲しく
離れない



音は犯し
黒は癒す
穿つことをやめない光
地の火や
想いの跡を追うものは
鳴るもの
震えるものを身にまとい
動く標と標のはざまを
ひとつの響きと過ぎてゆく










自由詩 三華遠季節 Ⅳ Copyright 木立 悟 2006-05-08 22:56:35
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三華遠季節