花の国
木立 悟
目を閉じた赤子の笑みに触れる花
ひとひらをくちうつしする涙かな
赤子の手何を語るや散る桜
とどまらぬ光の糸をたぐる花
名づけても名づけきれぬ日花を追う
手のひらを照らしこぼれる花の声
花曇り空にたなびく光の尾
ひとりからひとりへ渡る桜かな
見えぬ目に聞こえぬ耳に降る桜
花を浴び戸惑うこころ息を吐く
岸辺には壊れた小舟つもる花
手のなかへ沈みし花に召ばるる陽
知らぬ間に背の羽となる花の声
去りし子の唱こぼれゆく白木蓮
見える手と見えぬ手の笑み花の国
俳句
花の国
Copyright
木立 悟
2006-05-07 14:46:04