僕らは僕らのままで
ベンジャミン



僕らは僕らのままで

それ以上でもなく
それ以下でもない

たとえば自分を着飾れば
それが淋しさに侵されてしまうように

僕らは僕らのままで

それが世界の均衡であることは
僕には否定できません

存在が存在として
(あるいは現象ともいうべき)
それが虚飾や嘘にまみれていても
わずかな歪みにでさえ
均衡はもたらされ
そして
平然と月日は流れ
(あるいは約束された運命ともいうべき)
それが日常なのです

それは時に悲しく
それは時に楽しく

揺り動かされるまるで
波の満ち引きのように

あるいは
何処かで落とされた涙の一粒や
言葉の切れはしに残された想いに
ふと
自分以外を感じながら
それを自分に取り込んでゆく
ように

僕らは僕らのままで
それで満たされていて

それが世界であるのと同じ
ように

だから
こんな小さな僕でさえ
僕が僕であることが
世界であるのだと
思えるのです

僕らは僕らのままで

存在は存在として
世界がその均衡のもとに成り立っている
そのことに少しだけ
安心しながら

同じように

僕が僕であることに
また

少しだけ安心しながら
明日を待っています




僕らは僕らのまま
それが世界であるのと同じように

今夜眠りについたなら
いつもと変わらない日常を祈ろう



僕はそれ以上ではないのだから
僕は僕の幸福に


甘えないで生きよう







自由詩 僕らは僕らのままで Copyright ベンジャミン 2006-05-03 03:54:41
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