咀嚼
みい

ほら、
いともかんたんに
あなたは
左手のくすり指を

さしだして

わたしは
それを
いのち のように
噛んでいる

あなたは
まるで
あいしてる の延長
みたい

たった
いちどの咀嚼で
たくさんの いのち を
なくしました

それは
ゆうべ食べた
たらの子
ぷつ
ぷつ


または

音もなく


なくなることに
音がない
ということは
しあわせ
でしょうか

ふと
あなたを見ると
にこり、とするので

わたしは
まるで
ざんげ の延長
みたい

もしも
あなたを
噛みきってしまっても

なくなるのは
たぶん、
わたし

あるように




未詩・独白 咀嚼 Copyright みい 2004-02-10 22:51:04
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