「?」 
服部 剛

朝起きて 
寝ぼけたつらで 
鏡を見たら 
直毛の黒髪の中から 
ふにゃりとした白髪しらがが1本 
飛び出していた 

指でつまんで 
ハサミで切って 
手のひらにのせる 

( 決して働き者じゃない僕も 
三十歳みそじを過ぎてもなお
( 不器用に世を渡る日々に
( 少しはくたびれていたらしい 

手のひらにのせた
ふにゃりとした1本の白髪
よくみると ? の形
仕事でミスって凹んだ夜の 
うなだれた自分の姿 

鏡に映る自分という人の頭の中は ? 
僕の元から離れていったあのの心は ?
テレビの箱の中のおかしなニュースは ? 
出勤する全ての企業戦士のスーツの背中にいつも浮かんでいる ?

手のひらの ? をつまんでゴミ箱に捨て 
玄関を出た僕は 
いつもと変わらない荷物を背負い 
いつもの駅へ 

見上げた空には

形の崩れた ? 雲 





自由詩 「?」  Copyright 服部 剛 2006-04-18 00:59:32
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